壁にできた小さな穴、ふさぐ前に・・・・
先日、建物の壁に、ぽっかりと穴が空いているのをテナントさんが見つけてくれました。
雨が吹き込んでは大変です。でも、何で開いたのか?どうぶつだったら中に入り込んだかもしれません。室内側には小枝が落ちています。入居テナントさんのご協力をいただいて、まずは観察していただくことにしました。
壁の穴。普通なら、見つけたその日に塞ぐ——が正解です。雨水が入れば木材が傷みますし、放っておけば他の虫や動物にも入られてしまう。建物を守る上では「早く塞ぐ」が基本の判断です。
ただ、すぐに手を動かすのが、今回ばかりは少し気になりました。
鳥は、壁の中の断熱材や隙間に巣を作ることがあります。運悪く親鳥が中にいるタイミングで塞いでしまえば閉じ込めてしまうし、子育て中ならヒナだけ残されてしまうかもしれない——と、考え始めると、すぐには手が動かせません。
そこで今回は、「中から押せば開けられるくらいの強度」で仮ふさぎ。押せば外れるように、紙を丸めたものを挟んでみました。
数日間、出入りがあるかどうか、穴のまわりに鳥の気配があるか、観察してもらい、大丈夫そうなら正式な補修に入ります。
観察してみると、犯人は鳥でした。これから巣を作ろうと、小枝を運びながら、近くからこちらをじっと見ています。せっかくこの場所を選んで、せっせと準備していたようです。
ただ、まだ卵を産む前のタイミング。今なら、別の場所を探してもらえます。
申し訳ないけれど、建物の躯体のことを考えて、塞がせていただくことにしました。
物件の管理をしていると、「教科書通りの正解」と「今この場面での最善」が少しずれることが、実はよくあります。
原状回復の範囲、退去時の鍵の扱い、エアコンの交換時期、設備トラブルの直し方。どれも一見すぐに決められそうで、実は「少し待ったほうがいい」余白が混ざっています。
急がないこと。一呼吸おくこと。
建物のことも、そこに関わる人や生き物のことも、まるごと考える余白を残しておくこと。
かなでエステートは、そんな「小さな判断」を丁寧に積み重ねていきたいと思っています。
壁の小さな穴ひとつからも、思うことがありました。